レストランの長テーブルを囲んで並んだ利用者さんとスタッフ。手前にはグラタンやパンの皿が並んでいる
長いテーブルを囲んで、8人でのランチ。手前にはそれぞれが選んだメイン料理と、ビュッフェから運んできたパンが並びました。

「もう少し、ゆっくり話せる時間がほしい」

AWANAひたちなかに通うメンバーは、少しずつ増えてきました。新しく通い始めた方がいて、在宅で作業をしている方がいて、毎日のように顔を合わせる方がいる。にぎやかになってきたのは嬉しいことですが、その一方で、こんな感覚も生まれていました。
——同じ事業所にいるのに、まだあまり話したことのない人がいる。

作業中の会話は、どうしても手元の作業が中心になります。編集の相談、イラストの進め方、今日の体調のこと。それはそれで大事な時間ですが、「そういえば、あの人は普段どんな音楽を聴くんだろう」といった話までは、なかなかたどり着きません。
もう少し、肩の力を抜いて話せる時間があってもいいのではないか。そんなところから、今回のレクリエーションは始まりました。行き先は、作業所から近いショッピングモールでのランチです。

お店選びで決め手になったのは、「メイン一品に、焼きたてパンの食べ放題ビュッフェがセットになっている」ことでした。席に座ったままの食事だと、会話は自然と隣の人だけに閉じてしまいます。けれどビュッフェがあると、パンを取りに立ち上がるたびに人の並びが変わる。戻ってきたときに「それ何?」と話が始まる。
結果として、この選び方はよく効いてくれました。

当日は、まさかの豪雨

ところが当日、外はあいにくの豪雨でした。
普通なら気分が下がりそうなところですが、この日はむしろ逆でした。社用車まで小走りで移動して、少々濡れながら乗り込んで、車内は出発前からわいわいと賑やか。傘をさしても濡れてしまうくらいの雨足に、かえって笑いが起きるような雰囲気でした。

参加したのは、利用者さん5人とスタッフ3人の合計8人です。車が動き出してしまえば、あとは目的地までのあいだ、ずっと話しています。雨の日の外出は、億劫になりがちです。それでも「行ってみたら楽しかった」に変わる日があるということを、この日の車内が先に教えてくれたような気がします。

向かったのは、焼きたてパンが並ぶレストラン

到着したのは、ショッピングモール「ファッションクルーズ ニューポートひたちなか」の2階にある、BISTRO309(ビストロ309)です。ハンバーグやドリアなどのメイン料理に、自家製の焼きたてパンの食べ放題がセットになっている、人気の洋食グリルレストラン。店内には専用のパン窯があり、毎日10種類以上のパンが焼き上げられています。

席に着いて、それぞれがメインをオーダーします。そして、注文を終えたちょうどそのタイミングで——店内に、パンの焼き上がりを知らせる合図が響きました。
タイミングの良さに、テーブルが少しざわつきます。「今の、行っていいやつだよね?」と顔を見合わせて、さっそくビュッフェへ向かうことになりました。

木製のカウンターに並ぶ、種類ごとのかごに入った焼きたてパン。手前にはパン名を書いた札が並んでいる
かごごとに並ぶ焼きたてパン。和風チャパタ、チーズロング、よもぎロール、キャラメルシュガーパイなど、札を読みながら選ぶ時間そのものが楽しい場面でした。

「これは冷めても美味しいね」

ビュッフェのカウンターには、かごごとに種類の違うパンが並んでいます。クロワッサン、細長いチーズのパン、よもぎのロール、キャラメルのかかったパイ。それぞれのかごの前には名前を書いた札が置かれていて、読みながら選んでいるだけで時間が過ぎていきます。

そして、席に戻ってからが本番でした。

「これが美味しい!」
「こっちは焼きたてがいい!」
「これは冷めても美味しいね」

——お皿の上のパンを見せ合いながら、会話が次々と弾んでいきます。誰かが持ってきたパンが美味しそうだと、次に立つ人がそれを取りに行く。戻ってきて、また感想を言い合う。取りに行く人と席に残る人が入れ替わるたびに、話す相手も自然と入れ替わっていきました。

ビュッフェのカウンターでパンを皿に取り、席へ戻ろうとする利用者さん2人
焼き上がりの合図のたびに、カウンターへ。立ち上がって戻ってくる往復が、そのまま会話のきっかけになりました。
白い皿に盛られたクロワッサンや粉砂糖のかかった数種類のパン
一度の往復でこのボリューム。「次はどれにしよう」と考える時間も含めて、食べ放題の楽しみです。
チーズがとろけた熱々のグラタンが、耳付きの器で提供されている
メインは一人ひとりが好きなものを。熱々のまま運ばれてくる一皿と、焼きたてのパン。組み合わせの相談も会話のひとつでした。

食後は、セール中のモールで買い物

ゆったりと食事を楽しんだ後は、そのままショッピングモールでの買い物へ。ちょうどセール期間中で、館内はいつもより見どころが多い状態でした。
ここでも、全員で同じ店を回るということはしていません。見たいお店が人によって違うのは当たり前なので、それぞれが気になるところへ。合流したときに「何か買えた?」と話すくらいが、ちょうどよい距離感でした。

食事のあとに買い物の時間があると、「食べて、すぐ帰る」よりも一日の輪郭がゆるやかになります。急いで戻らなくていい時間が少しあるだけで、その日の記憶の残り方は変わってくるようです。

在宅の人と、通所の人が、同じテーブルに着くということ

今回のレクリエーションで、ひとつ大きかったことがあります。
普段は在宅での作業をメインにしている利用者さんも、参加してくださったことです。

AWANAひたちなかでは、事業所に通って作業する方と、自宅で作業する方の両方がいます。在宅を選ぶ理由はさまざまで、体調の波であったり、通所そのものの負担であったり、自宅のほうが集中できるからだったりします。どれも、その人にとって理にかなった選び方です。

ただ、在宅での作業が中心になると、他の利用者さんと顔を合わせる機会は、どうしても少なくなります。オンラインでのやり取りはあっても、雑談の入り込む余地はそれほど多くありません。
だからこの日、在宅の方と通所の方が同じテーブルに着いて、同じパンを取りに行って、「それ美味しかった?」と話せたことには、思っていた以上の意味がありました。ゆっくり話す時間が取れたのではないかと思います。

次に作業でやり取りするとき、画面の向こうにいるのは「名前だけ知っている人」ではなく、「あのとき隣でパンを選んでいた人」になります。その違いは、小さなことのようでいて、働きやすさに直結します。

レクリエーションも、活動のひとつです

AWANAひたちなかは、動画編集、作曲、アナログイラスト、デジタルイラストなど、創作を中心とした活動を行う就労継続支援B型事業所です。日々の中心は、もちろん制作の作業です。

その上で、こうしたレクリエーションの時間も、活動の一部として位置づけています。理由はシンプルで、創作の作業の多くが、誰かと一緒に進めるものだからです。動画の編集を分担する、イラストの構図を相談する、撮影で誰かに手伝ってもらう。そのどれもが、「この人にはこれくらい聞いていい」という感覚の上に成り立っています。
その感覚は、作業の説明だけでは育ちません。パンを取りに行った帰りに交わす一言のほうが、ずっと早く距離を縮めてくれることがあります。

なお、レクリエーションへの参加は希望制です。「人数の多い場は少し苦手」「その日は作業に集中したい」という方は、参加を見送っても構いません。今回のように外へ出る日もあれば、いつも通り作業を進める日もある。どちらを選んでも大丈夫な形にしています。

AWANAひたちなかについて

AWANAひたちなかは、ひたちなか市・勝田駅周辺で、創作を中心とした活動を行う就労継続支援B型事業所です。動画編集、作曲、イラスト制作などに取り組みながら、一人ひとりのペースに合わせて通い方を決めていきます。通所と在宅の併用も相談できます。

「創作はやったことがない」「まず様子だけ見てみたい」という段階でのご相談も歓迎しています。見学の日程が決まっていなくても、空き状況や送迎の範囲、作業内容だけを先に聞いていただくこともできます。どうぞお気軽にご連絡ください。

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参考情報

最終確認日: 2026年7月27日

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